北の水辺で水面や空を眺めての独り言

by kitanomizube
 
改憲のための中国脅威論
朝日新聞によると、麻生外相が「中国がかなり脅威」と発言したことにより、日中関係の悪化に拍車がかかっている。
http://www.asahi.com/special/050410/TKY200512220179.html
これについては、自民党内部でも山崎安全保障調査会長(元政調会長)が「言葉遣いをまちがっている」と批判しているように、党の公式な発言ではないのだろう。
http://www.asahi.com/special/050410/TKY200512250217.html
外相発言には中国も「根拠のない中国脅威論を扇動している」と批判している。

日中関係は日韓関係と共にここ数年改善されてきていた。そこに水を差すような政府の対応は何故なのだろうか?
首相の「靖国参拝」によって、中韓両国との首脳会談さえ開けない状況にあるのはASEAN諸国も懸念しているが、その状況の中で更に関係を悪化させる発言だったと言えるだろう。

それにしても何故、日本の政府要人はこのような発言を繰り返すのだろう?
答えは「改憲」と「防衛軍」ではないか?
「改憲」は「自主憲法」を目指す自民党の悲願であり、「防衛軍」もまた自民党の悲願である。
劇場政治により、世論が首相を支持している今こそ、衆議院の議席が史上最高である今こそ、期を逃さず目的を達成しようとしているのだろう。
そのためには中韓両国との関係が良好では「防衛軍」の説得力がない。だからわざわざ関係を悪化させて、世論を誘導しているのだろう。
このような政治手法は「大衆扇動政治」であり、ヒトラーが得意とした政治手法である。アメリカのブッシュも「イスラム教徒はテロリストだ」という論調で「大衆扇動政治」を行い、イラク攻撃を現実にした。
彼の大統領と、我が首相は、なぜ公も似ているのだろう・・まねしてるの?

がっかりさせられるのは、民主党の党首までが全く同じ発言をし、中国訪問はしたものの要人には会えないでいることである。
http://www.asahi.com/special/050410/TKY200512090249.html
http://www.asahi.com/special/050410/TKY200512130353.html

中国脅威論が「改憲」「防衛軍」のためだとするならば、「改憲」のために民主党に大同団結を求めている自民党としては歓迎だろう。
しかし、さすがにこれまでなりを潜めてきた旧社会党系も黙ってはいられなくなったようだ。横路副議長が「無神経な発言で理解できない」と批判している。
http://www.asahi.com/politics/update/1225/004.html
これに先立ち、鳩山、菅両氏も批判している。
http://www.asahi.com/special/050410/TKY200512150365.html
中韓両国からも「野党第一党までがこれでは・・」と、失望されている。

このような政府、野党の元で「改憲」が現実となった場合、いったいこの国はどうなっていくのだろう?
軸足を置くアジアでの信頼を得られないまま、国際社会での孤立化を深めるのだとすれば、まさに戦前である。
製造部門でも、製品の市場としても、中国、インドを中心とするアジア諸国は重要な存在のはずだ。そしてその重要性は、今後更に増すだろう。その中で日本の首脳のスタンスは、どうかしているのではないだろうか?

by kitanomizube | 2005-12-26 06:26 | 国際
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