北の水辺で水面や空を眺めての独り言

by kitanomizube
 
共感を覚える・・

数ヶ月前に買った本をやっと読んだ
姫野雅義さんの
第十堰日誌
共感を覚える・・_c0046416_321411.jpg

第十堰は十数年前になるが、現地を訪れて見たことがある
当然、この可動堰反対運動に共感していたからだ
当時は残念ながらデジカメではなく銀塩で撮っていたのでdataがない(×_×;)
実際はデジタル化したものもあったのだが、数年前HDDと共にお亡くなりになったのだろう・・

ここには250年前に造られた堰がある
二重になっていて、下流の堰で満潮時の海水の逆流を防ぎ
上流の堰で本流の一部を用水路に流す構造になっている
堰は完全に水流を遮断するのではなく、自然石を積み重ねた構造なので透過する水もある
そのため完全に遮断するより壊れにくい構造になっている
自然石の間は、水生昆虫や小魚の住処にもなり、自然と上手く共存するようにできている
増水の時は堰の上を水が越えていく(オーバーフロー)
250年壊れず、立派に機能している先人の知恵だ

これを壊して可動堰を作るというのが、止まらない公共事業として始まった

公共事業の始まり方はこうなのか・・・と言うのがわかるのだが
まず、御用学者を集めて「審議会」を作る
ろくに「審議」もせず「建設を推進する答申」をだす
全国紙やテレビが大々的に報じて既成事実化する
公聴会を開いて住民にものを言わせ、自分たちは何も言わない
そして住民の意見は聞き置いた・・・つい先日あったよね・・・なまずのにらめっこ・・・
でも公共事業はやめない・・・・・アリバイづくりにすぎないからだ
「止まらない公共事業」の仕組みは、「ムラ」による原発推進と全く同じ構造でしょ・・

徳島の可動堰の賛否を問う住民投票は、今や公民の教科書に直接民主制の例として載っているほどだが
当時の建設相は「民主主義の誤作動」と言った
そんなことを思い出しながら読んだ

姫野さんは野田知佑の川の学校の発案者だったと言うことも知った

読んでいて、住民が造り上げていく運動に、現在首相官邸を取り囲んでいる人々との共通点が見える気がした
一市民が、行政のやることに疑問を持ち、徐々に集まって大きな勢力になっていく
1/50で良いはずの条例制定要求の署名を、有権者の過半数も集めてしまう
この条例案を県議会が否決しても、次は県議選で、否決に対しての審判が下ると動じない
知事選で可動堰反対派を知事にするところまでやる・・これはJ民党中心の県議会でいじめられるんだけどね・・・

読んでいて良いな・・と思ったのは
「反対」を前面に出さない
「必要なの?」「誰がやってくれと頼んだの?」と、疑問をぶつけるところから始める
「自分たちが幼い頃から見てきた吉野川を残したい」という想いを強く持った人が集まる
「吉野川の未来をどうするか」というビジョンを持っている

後書きに、野田知佑が書いているが、長良川の時は「反対」を言い過ぎた
だから一般の人たちが入って来にくかった
吉野川では「反対」ではなくて「吉野川をどうするか」というスタンスなので集まった
ここが原発再稼働反対で集まっている金曜集会の人たちと共通すると感じる
自分たちの子どもの将来に原発は残したくない
他の方法があるだろう
今までのデモや集会は、一部の労組などの主催で主義主張が偏っていそうで近寄りがたかった
でも、今回はちがう

本の中で2002年5月のニュース23、筑紫哲也さんの「多事争論」で取り上げられたことが載っている
「一握りの市民が始めた運動が滔々たる大河になった。それは住民投票を実現し、計画を白紙にし、市長の姿勢を変え、知事を作りだした。普通の住民が公共事業を変え、政治を動かせるのだ。自民党はことさら徳島知事選を無視しているが、実はこちらの方こそが日本の未来につながる大きな意味を持っているのだ」と
それに対して
「そう、動かせるんです。誰でもが。その力に気づきさえすればいい。」
と書いている
ここが原発反対の運動との共通点で
今、ようやく日本国民が気づき始めていることなんだと感じる

徳島知事選についての文章も良い
「勝手連の選挙活動の特徴は、プラカード作戦に象徴されるように、有権者個人個人の良心を信じ、自主的判断を尊重する手法にある。中略、個人の判断が集まって出た結果は、良くも悪くもひとのせいにするわけにはいかない、と言うのが良いですよね。こうして有権者は政治という舞台で「観客」から「プレーヤー」に変わっていくのでしょう。」

民主主義が成熟するというのは、こういうことを言うのだろう。
やっと、この日本でも、それがおおやけになってきたということ。
ここを見誤る政治家に未来はないだろうね。

詳しくは御一読をお勧めする

by kitanomizube | 2012-08-27 03:21 |
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